rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

運用会社はフィデューシャリー デューティーを守ってきたの?

こんな文書を読みました。
低コストのインデックスファンドが最強…というほど単純ではない。(pdfファイル)www.nikkoam.com
言っていることは正しいのですが、これを、投信を売る側の人間が言うと納得はできません。以前に書いた以下の記事と同様の違和感を覚えます。
rukbat.hateblo.jp

毎月分配型投信は悪ではない?

例えば、ブロガー界隈では毎月分配型投信は悪だとされています。しかし、先の文書には次のように書かれています。

毎月分配の是非は「複利効果」ではなく資金ニーズで議論すべき。
毎月分配型である必要性については、運用効率ではなく「その現金が本当に必要かどうか」で考えるべき。そもそも変動商品による資産運用に、固定金利を前提にした複利効果の議論はそぐわない。

  • 年X%という固定金利のシミュレーションを用いて「単利と複利では20年でこんなに違う」とする説明を見かけるが、投信においてはやや不適切。日々変動する基準価額に“乗っかっている”期間のスタートとエンドの差を年率換算して初めて、事後的に決まるのが投信の(年X%といった)リターンであり、金利が固定であらかじめ決まっている預貯金の複利効果と同列で論じるのは正しくない。
  • 毎月分配の是非は複利効果等の運用効率の話ではなく、お金の育て方に関する「投資家の方針」として吟味すべきこと。分配金の再投資について純粋に議論したいのなら、上昇局面における税の繰り延べ効果はあるにせよ、下落期間においては分配金を再投資すると“一緒にやられてしまう”という意味でのマイナス効果についても理解しておかねばならない。
  • もし、分配金は不要なのに買いたいファンドに毎月分配型しかないのであれば、「再投資コース」を選べばよい。税の繰り延べ効果を先に考えて投資対象を二の次にするのでは主客転倒。また、その効果自体も今後の値動きによって結論が異なるため、事前に議論することにはあまり意味がない。
  • もし、買いたいファンドに毎月分配型と年1回決算型(資産成長型)の両方が揃っているなら、様々な点でシンプルな年1回決算型を選べばよい。いずれにしても「買いたいファンドかどうか」(投資対象・投資コンセプト)がすべてに優先する。

ざっくりまとめると、毎月分配型投信が悪いのではなく、理由もないのに毎月分配型投信を買っていた奴が悪い、というところでしょうか?この意見は正しいと思います。しかし、本質を突いてはいません。それは、毎月分配型投信が悪者扱いされるのは、商品そのものというより、その売り方に問題があったからです。つまり、分配金利回りという利益率と似て非なるものを、預金金利等の本当の意味の利益率と比べ、分配金利回りが高いという売り方が問題なのです。その点についての反省もなく、商品自体に問題はないという主張は無意味です。

テーマ投信にはいいものもある?

また、この文書には、テーマ投信について次のように書かれています。

  • いわゆる「テーマ型ファンド」を、「短命の投資テーマだから選ぶべきではない」とする向きもあるが、逆に、世界経済や産業構造の大きな潮流変化に根差した「メガトレンド」に関するものである場合も多い。活躍する企業の入れ替わりはあっても(だからこそ銘柄の選別と入替が必要)、その「メガトレンド」自体は短命どころか、逆に「骨太な長期投資」に値する場合もある。

言っていることはそのとおりです。例えば、生活必需品セクターの優良株に投資するという投資法は有名です。この文書の言うメガトレンドの一つと言えると思います。個別株で生活必需品セクター投資をしようとすると、銘柄の吟味や入れ替えが必要ですが、そういうことを勝手にやってくれるというのが投資信託の利点でしょう。そのようなことを考えて以下のリンク先を見てください。
代表的な商品|日興アセットマネジメント
これらは、日興アセットマネジメントのサイトで、グローバル株式クラスで代表的な商品として紹介されている投資信託です。ぱっと見てロボティクスとかフィンテックとか流行りの言葉が並んでいます。少し前に流行ったBRICsなんかもあります。新シルクロード経済圏(=一帯一路)なんてものもあります。どれも、流行の言葉ばかりです。これらがメガトレンドで、骨太な長期投資に値するのでしょうか?文書で書いていることと、実際に売っている投資信託にはあまりにも差があります。御高説をたれるなら、自社の商品ラインナップをそれに合わせてからにしろと思うのは私だけでしょうか?

運用会社も同じ穴のムジナに過ぎない

最近、運用会社の人が書いた「自分たちはフィデューシャリーデューティーを守ってますよ」的な文書をチラホラ見かけます。日興アセットマネジメントが、毎月分配型投信やテーマ投信が全盛の頃にこの文書を発表していれば、傾聴に値すると思います。しかし、金融庁が毎月分配型投信にダメ出しをしたあとでこんな文書を発表しても、アリバイ作りにしか思えません。むしろ、ある投資家の5000万円の損失のうち、3割が手数料というボッタクリの野村證券や、顧客の年収や資産額を改ざんして融資を増やしていたスルガ銀行のような、明確な悪者の方が清々しく思えます。