rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

VALUはすぐに廃れると思う

5月末に、こんなサービスが始まったそうです。

(H29.6.15現在、システムメンテナンスのため平日9:00〜18:00しか閲覧すらできない、なかなかワイルドなページです。)
このサービスに対する私の予想は、「一時的に投機の対象になるかもしれないけれど、すぐに廃れる」です。今日は、そう思う理由について書きたいと思います。

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どんなサービスなのか?

公式サイトのヘルプで、「VALUとはなんですか?」という質問に以下の回答がついています。

VALUは、だれでも、会社の株式に見立てた ●VL を発行できるサービスです。カンタンに発行して、好きな価格をつけて、他の人と売り買いすることができます。

http://help.valu.is/article/8-what-is-valu

(●は原文のままです。)
分かったような分からないような説明ですが、要は、個人に対して株式のようなもの(VL)を発行して、その売買ができるというサービスです。ですので、株式との違いを中心に見ていきたいと思います。

用語の定義

公式サイト内でも言葉の意味にブレがあり分かりづらいのですが、この記事中では、以下の意味で用語を使います。

用語 意味
VALU このサービス自体を指す。
VL VALUで発行される株式のようなもの。
VA VLの単位
VALUER VLを買った人。株主に相当。
発行者 VLを発行した人。会社に相当。

公式サイトでは、上記のVLの意味でVALUという単語が使われていることが多いですが、この記事では区別します。また、発行者に相当する単語を公式サイトから見つけられませんでしたので、こう呼んでおきます。

株式との違い

株式との主な違いは以下のようなものだと思います。他にも法規制とかルール面での違いはいくつもありますが、以下の点で、本質的に株式とは違うものであると考えています。

VLは価値の裏付がない

株式は、端的に言うと「会社の区分所有権」です。そのため、株主総会で議決権があったり、会社の儲けの一部を配当として受け取ったりできます。また、会社が解散するときには、会社の資産を分配してもらうことができます。また、会社が儲けて資産が増えれば、当然、株式の価値も上がります。基本的に有形無形を含め、すべての会社の資産は、株主が共同で保有しており、株主総会の議決が何よりも優先されるのが株式会社です。つまり、株式の価値は会社の資産によって裏付けられています。
一方、VLを買っても、当然のことながら、発行者の資産を部分的に所有できるわけではありません。むしろ、配当金を出すことは規約で禁止されています。唯一、得られるものは、発行者が決めた優待です。しかし、この優待もざっと見たところ、その人のファンなら欲しいかもしれませんが、一般的には無価値なものばかりです。また、優待の内容をVLの購入者が決めることもできませんし、優待を出すのも出さないのも発行者の自由です。VLを持っていても、何一つ決めることはできません。要するに、VLを持っていても、発行者に対して何一つ指示することはできません。VLを購入しても、単に発行者が決めた優待を受ける権利しか得られません。これは、ファンクラブの入会金のようなものです。ファンクラブと異なるのは、年会費が不要なことと、会員権を売れることぐらいです。そして、ファンクラブの会員権はファンにとっては価値があるかもしれませんが、一般の人にとっては無価値です。VLも同様に、一般人にとっては無価値だと思います。

発行者はVLの価格を上げる必要が無い

次に、投資としての側面を見てみましょう。
株式会社の経営者は、基本的に利益を増やそうとしています。なぜなら、会社の利益が増えれば経営者の報酬も増えるからです。そして、利益が増えれば同時に株価も上がります。逆に、利益が減れば株価も下がり、最悪の場合、他社に買収されたり、株主から嫌われて、経営者はクビになる可能性だってあります。このように、株式会社において経営者は、株価を上げるインセンティブがあります。
一方、VALUにおいて発行者はこのようなインセンティブがありません。発行者がVLの価格が上がって喜ぶのは、自分の手持ちのVLを売りつくすまでの間だけです。
VALUは、発行者は最大で10,000VAのVLを持ち、それを少しずつ売っていくシステムのようです。ですから、手持ちのVLを売りつくすまでは、VLの価値を高くして、手持ちのVLをより高く売ろうというインセンティブが働きます。しかし、手持ちのVLが無くなったあと、VLの価値を高くする必要があるでしょうか?VLの価値が下がっても、発行者は収入が減ることもなければ、仕事を無くすこともありません。信用が損なわれるかもしれませんが、アルファブロガーと呼ばれる人たちのVLが値下がりする局面では、多くの人がVALUに興味など持っていないでしょうから、それほどの影響はないと思います。結局、手持ちのVLを売りつくしてしまった後は、発行者はVLの価格が上がろうが下がろうが何の利益も損失もありません。そんな中、発行者がVLの価格を上げる努力をするとは考えにくいと思います。

時価総額」の嘘

数日前、「ホリエモン時価総額は8億円」というような記事が多く出ていました。しかし、このサービスで、最もあやしい点が、この時価総額の表記だと思います。通常、時価総額は次の式で計算します。
(時価総額)=(時価)×(発行済株式数)
しかし、このサービスで時価総額は次の式で計算しています。
(時価総額)=(時価)×(発行可能VA数)
ポイントは、「発行済」と「発行可能」の違いです。

時価総額とは何か?

「ある会社の価値がどれくらいか」という質問に対し、株価を答える人がいるかもしれませんが、それは間違いです。株価が表しているのは、会社の分割された価値であって、会社全体の価値ではありません。例えば、同じ会社でも、100個の株式に分割して売った場合と、1,000個の株式に分割して売った場合では、前者の方が株価が10倍になるはずです。このことを踏まえて、逆に株価に株式の数を掛けて会社の価値としようという考え方が時価総額です。

発行可能株式数と発行済株式数

発行可能株式数とは、その名の通り発行することができる株式数です。これは、会社の定款に書かれています。一方、発行可能株式数は、発行可能株式数のうち、発行会社以外が所有している株式数です。発行会社自体が所有している株式は当然のことながら、議決権がありません。ですから、発行済株式数をすべて集めれば、その会社をまるごと所有しているのと同義になります。ですから、時価総額は、株価に発行済株式数を掛けて計算します。
しかし、VALUでは時価総額を発行可能VA数を掛けて計算しています。例えば、前述の「堀江貴文氏の時価総額は8億円」は、時価に10,000VAを掛けて算出しています。しかし、実際に流通しているのは150VA程度です。実に、50倍以上も時価総額を過剰に表示している事になります。

VALUの経営にも関わっている堀江貴文氏がこのことを知らないはずはなく、意図的に混同して時価総額を大きく見せて、VALUを話題にしようとしているのではないかと勘繰ってしまいます。

結論

結局、このサービスは、入会金のみで年会費無料のファンクラブの会員権を売買しているに過ぎません。しかも、ファンクラブ特典はほとんど無く、得られる利益はほぼ自己満足のみです。現在は、発行者のファンなどが買うのでしょうが、今後も継続的にVLを購入する人が出てくるとは思えません。また、VLを発行する側についても、VLを上げるインセンティブが
いつまでも続く合理的な理由がありません。
このような理由から、投資になるわけがありませんし、投機的な動きもすぐに収まって、忘れられるサービスになるのではないでしょうか。

H29.8.24追記
株式の価値についての記事を書きました。株式にはこのように価値の裏付けがありますが、VALUにはそれがありません。

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