rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

楽天バンガードファンドの実質コストは下がっていくはず。

楽天バンガードファンドのはじめての運用報告書が公表されました。それをもとに、すでに多くの方がいわゆる実質コストを計算されています。その結果、予想外に実質コストが高くて、やきもきしている方も多いのでは無いでしょうか?
しかし、安心してください。今後、実質コストは徐々に下がっていくはずです。

コストの原因は売買手数料

楽天VTの運用報告書の1万口あたりの費用明細を見ると、たった9ヶ月半の運用期間で、17円もの売買手数料を支払ったことがわかります。比較対象としてeMAXI Slim先進国株の運用報告書を見ると、1年2ヶ月の運用期間で2円しか売買手数料を支払っていません。各国の株式を買付けるeMAXIS Slim先進国株と、アメリカの一つのETFのみを買付ける楽天VTなら、通常は後者の方が売買手数料が低くなりそうなものです。それを期待して楽天VTを買った人も多いと思います。
しかし、現実には楽天VTの方が圧倒的に高額な売買手数料を支払うことになりました。この差は何なのでしょうか?三菱UFJ国際投信はその規模をいいことに、証券会社に破格の売買手数料を約束させ、楽天投信投資顧問は新参ゆえに高額の売買手数料を払わされているのでしょうか?
そんなことは無く、この差は純資産総額の差によるものだと思います。

古参は新参の売買手数料を負担させられている

ここで、投資信託の仕組みについて考えてみます。投資信託は、投資家から買付の申し込みがあり、代金が支払われると、そのお金で投資対象の資産(以下「原資産」と呼びます。)を買います。このとき、売買手数料が必要になります。例えば、10,000円分の原資産を買うのに、10円の手数料を払わなければならないとします。手数料率は0.1%です。この原資産に投資する新規に設定された投資信託を20,000円分買うことを考えます。つまり、基準価額10,000円、純資産総額が0円の投資信託に2万口の買い注文が入ったときを考えます。すると、この投資信託は19,980円分の原資産を購入し、20円の売買手数料を払います。結果、原資産の価格が変わらなくても、2万口の投資信託が19,980円の原資産を持っているので、次の日の基準価額は9,990円(=19,980÷2万×1万)、1万口あたりの売買手数料は10円(=20÷2万×1万)です。
次に、基準価額10,000円、純資産総額100,000円の投資信託(=設定済み口数10万口)に同じ20,000円の買い注文が入ったときを考えます。このとき、投資信託は19,980円分の原資産を購入し、20円の売買手数料を払うところまでは同じです。そして、原資産の価格が変わらなければ、12万口の投資信託が119,980円の原資産を持っていることになります。結果、基準価額は9,998円(=119,980÷12万×1万)、1万口あたりの売買手数料は1.7円(=20÷12万×1万)です。
1回あたりの売買手数料は同じですが、純資産総額が多い方が、1万口あたりの売買手数料が少ないことがわかります。これは、投資信託が払う費用は全投資家で頭割りをするというシステムになっているからです。つまり、新参の投資家のために支払った売買手数料は、古参の投資家も含めた全投資家で分担するという構図になっています。
ここで、楽天バンガードシリーズについて考えると、今回がはじめての決算期のため、かわりに売買手数料を負担してくれる古参はいません。そのため、1万口あたりの売買手数料は高くなったのだと考えられます。一方、eMAXIS Slimも新規に設定された投資信託です。しかし、eMAXIS Slimには大きなマザーファンドがあり、売買手数料はマザーファンド全体で頭割りになるので、1万口あたりの売買手数料は小さくなっているのです。本家eMAXISに投資している人は、割高な信託報酬を取られた上に、Slimを買った人の売買手数料まで負担させられて踏んだり蹴ったりだとおもいます。
それはさておき、楽天バンガードシリーズの売買手数料が高額になった理由が上記のようなものであれば、今後、楽天バンガードシリーズの1万口あたりの売買手数料は、純資産総額が増えていくに連れて下がって行くはずなので、さほど悲観的になる必要はないと思います。
一方、eMAXIS Slimシリーズでも、米国株式(S&P500)はマザーファンドが無い状態からのスタートになるので、楽天バンガードシリーズ同様、最初の売買手数料は高額になるのではないかと思います。

まとめ

  • 楽天バンガードファンドの実質コストは規模が増えていくに連れて減るはず。
  • eMAXIS Slimシリーズはマザーファンドが大きいから1年目から実質コストが低い。
  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は1年目は実質コストが高くなるはず。