rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

朝三暮四の猿は賢い

朝三暮四という言葉があります。ある猿に、餌を朝に3個、夜に4個あげると言うと怒ったが、朝に4個、夜に3個あげると言うと喜んだという寓話から、本質的に同じなのに気づかないことを表す言葉です。この話の中で、猿は朝に3個、夜に4個でも、朝に4個、夜に3個でも、1日に7個もらえることに変わりはないのに、そのことに気づかない馬鹿の象徴です。しかし、この猿は本当に馬鹿なのでしょうか?
少なくとも金融の世界では、この猿の判断は正しいと思います。

今日もらえる100万円は、明日もらえる100万円より価値がある

猿の餌をいくつもらえるという話では、人間にとってはいまいち嬉しくないので、お金で考えてみます。今日100万円もらえるのと、明日100万円もらえるのとでは、どちらを選ぶでしょうか?
少し、設問を変えて、今日100万円もらえるのと、1年後に100万円もらえるのとでは、どちらを選ぶでしょうか?
もらえるのはどの場合も100万円で変わりません。しかし、私は今日100万円をもらうことを選びます。それは、今日もらえる100万円は、明日もらえる100万円より価値があるからです。

金利と現在価値と将来価値

今日もらっても、明日もらっても100万円は100万円と思うかもしれませんが、その考えは間違いです。今日もらう100万円の方が価値があります。その理由は、金利です。お金を現金で持っていたら、今日も明日も1年後も同じ100万円ですが、例えば銀行に預金しておくと利子が付きます。100万円を1日だけ預けても、1円にもなりませんが、それでも確実に利子は付きます。*1つまり、今日もらえる100万円は、明日もらえる100万円より1日分の金利の分だけ価値が高いのです。このように、価値が違うのですから、同じ100万円という数字で表すべきではありません。そこで、現在価値や将来価値という考え方が生まれました。現在価値は、その名の通り現在の価値です。一方、1年後の将来価値と言うと、現在価値に1年分の金利を足した額になります。式で表すと、次のようになります。

将来価値=現在価値×(1+金利×期間)

金利を0.01%とすると、今日もらう100万円の、1年後の将来価値は、
1,000,000×(1+0.0001×1)=1,000,100円
になり、現在価値より100円多くなります。つまり、この100円分だけ、1年後に100万円をもらうより、今日100万円をもらった方が得ということになります。
先程の式を変形すると、逆に将来価値を現在価値に変換することもできます。その式は、

現在価値=将来価値÷(1+金利×期間)

になります。この式を使うと、今日もらう100万円の現在価値は100万円ですが、1年後にもらう100万円の現在価値は、1,000,000×(1+0.0001×1)=999,900.01円
です。その差は99.99円と先程の結果と0.01円ずれていますが、これは99.99円が現在価値なのに対し、100円が将来価値だからです。つまり、
99.99×(1+0.0001×1)=100
という関係になっています。*2

金利が高いと・・・

先の例では、1年で100円損するか、得するかという話ですから、取るに足らない話です。今日もらおうが、1年後にもらおうが、どちらでもいいでしょう。ましてや、今日か明日かとなると、100円の1/365しか差がないので、もはやどちらでも変わらないでしょう。しかし、金利が異なるとそんなことは言ってられなくなります。
例えば、クレジットカードの遅延損害金は最大で年利14.6%です。今日、100万円の延滞の、明日の将来価値は、
1,000,000×(1+0.146×1/365)=1,000,400円*3
です。たった1日でも、そこそこの金額の差が出ることが分かります。
たった1日で大きな差が出ることは稀だと思います。それでも、今日もらう100万円は、明日もらう100万円より価値があることを覚えていて損は無いと思います。

結論

受取りは、なるべく早く。

*1:銀行の普通預金の利子は日ごとの残高に1日分の利率を掛けて1日あたりの利子を計算し、それを1ヶ月分足し合わせて月末にまとめて支払っているので、1日あたりの利子が1円未満でも無駄にはなりません。

*2:99.99円は、少数第三位で四捨五入しているので、実際にこの通りに計算すると少しずれます。

*3:年利14.6%なので、期間は1/365年=1日です。