rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

12月は住宅ローンの繰上返済をしてはいけない

住宅ローンの総負担額低減に、繰上返済は大きな効果があります。特に、12月はボーナスでまとまったお金が入るので、繰上返済をしようという方も多いと思います。しかし、住宅ローン減税を受けている場合は、12月に繰上返済をしてはいけません。それは、次のような2つの理由があるからです。

  • 年末調整のやり直しが必要になる。
  • そもそも総負担額が増えてしまう。

繰上返済をするなら、年が明けてからにするべきです。

f:id:rukbat:20171204235438j:plain
(今夜は月が綺麗ですね。)

理由1 年末調整のやり直し

まず、12月に繰上返済をすると、年末調整をやり直すか、確定申告をする必要があります。
少し補足するために、所得税の徴収方法についておさらいしてみます。会社員であれば、通常、所得税源泉徴収されます。これは、毎月の給料やボーナスから見込みで所得税が引かれ、年末に給与の合計や控除が正確に分かったら所得税の額を計算して見込みで徴収した額との差額を精算するという制度です。このため、会社員で2年目以降の住宅ローン減税を受ける場合*1、11月に会社へ住宅ローンの年末残高証明書を提出したはずです。11月に提出するのに、年末という未来の残高を証明する書類があるのもおかしな話ですが、住宅ローン減税が年末の住宅ローン残高に応じて控除額を決める制度なのに対し、年末調整のスケジュールを考えると、金融機関は10月に年末の残高証明書を発行せざるを得ないのでしょう。なお、この年末残高証明書は、当然のことながら、年末の残高が書かれています。ですから、この額は、発行日時点の残高ではなく、そこから10〜12月に返済予定の元本を引いた額になります。
ここで、一つ疑問が出てきます。証明書発行から年末までに残高が変わったらどうなるのでしょう証明書発行から、年末までに繰上返済をした場合、このような状態になります。この場合、証明書記載の残高より実際の残高が低いため、そのまま放っておくと、脱税になります。そこで、会社に頼んで年末調整をやり直してもらうか、自分で確定申告をして、正しい税金を払うという手間が生じます。

理由2 総負担額が増える

繰上返済をする理由は多くの場合、総負担額を減らすことだと思います。しかし、12月に繰上返済をすると、この総負担額はほぼ間違いなく増えます。それは、前項の年末調整/確定申告の結果、税金の負担が増えるからです。
例として、年利1.2%でローンを借りていて、繰上返済に使える資金が100万円あるとします。この100万円を1月まで返さなかった場合、その分の利子 100万円\times 1.2\% /12\times 1=1000円を余分に払わなければなりません。
一方、今すぐに繰上返済をすると、この1000円は払わなくて済みますが、年末残高が100万円減るので、住宅ローン減税による減税額が100万円\times 1\% =1万円減ることになります。差し引き9000円だけ、1月になってから繰上返済をした方が得になります。得するために繰上返済をするのに、逆に損をするようでは意味がありません。

繰上返済をしてはいけない期間

住宅ローン減税を有効に使うなら、繰上返済は年が明けてからなるべく早くするべきです。逆に、時間が経つと、繰上返済をすると損をしてしまうようになります。住宅ローンの金利ごとに、いつから損をすることになるかを表にまとめましたので参考にしてください。この表の時期になれば、繰上返済をするよりも、貯めておいて翌年の1月に繰上返済をした方が得をするようになります。なお、この表は、住宅ローン減税の控除率が1%の場合を想定しています。控除率が1.2%の方は自分の住宅ローンの利率から0.2%を引いて表を見てください。例えば、控除率が1.2%で住宅ローンの利率が1.5%の場合は、表の1.5%-0.2%=1.3%の欄を見て、3月以降は繰上返済をすべきでないということになります。

ローンの利率 繰上返済をすると
損する時期
1.0%以下 時期によらず
繰上返済しない方が得
1.1% 2月以降
1.2% 3月以降
1.3% 3月以降
1.4% 4月以降
1.5% 5月以降
1.6% 5月以降
1.7% 5月以降
1.8% 6月以降
1.9% 6月以降
2.0% 7月以降

また、ローンの利率を2.0%までしか表示していませんが、それ以上の利率で借りている場合は、今のうちに借り換えておいた方が良いと思います。
rukbat.hateblo.jp

*1:1年目は確定申告が必要です。