rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

ETFは分配金を支払うために証券を売ったりしない。

今日、bloombergに変な記事が載っていました。

TOPIXや日経平均株価に連動する上場投資信託ETF)の分配金捻出に伴う売り圧力が日本株市場で警戒されている。パッシブファンド人気から資産が増加傾向にある中、今週から来週にかけて主要なファンドが決算期日を迎えるため、株式需給を一時的に悪化させかねないとの見方が出ている。

ETF配当金捻出売りに身構える日本株、昨年は決算期日で乱高下

7月決算のETFが多く、それらのETFが分配金を捻出するため、株を売るから7月は日本株に一時的に売り圧力がかかると言いたいようです。しかし、ETFの仕組みを考えれば、株を売る必要など無く、この記事は間違いだと分かります。

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(月と木星)

ETFの分配金の原資は配当金

まず、ETFの分配金の原資は株を売って得た収益ではなく、株から得た配当金です。年1回決算のETFは、1年間に得た配当金から信託報酬等を差し引いた残りを分配金として出しているだけです。例えば、野村のTOPIX連動型上場投資信託の決算短信を見ると、4ページに分配金の計算過程が載っています。それによると、分配金の原資は、
(当期配当等収益額)+(分配準備積立金)-(経費)
であることが分かります。当期配当等収益額は保有する株式等から得た配当金で、分配準備積立金も前期までに得た配当金が原資です。ETFは受け取った配当金を再投資しない(できない)ので、これらのお金はすべて現金やそれに類する形で保有しています。そのため、分配金を捻出するために所有する株式を売却する必要など無いのです。

ETFは株を売買しない

そもそも、ETFは株を売買しません。ETFの運用会社と指定参加者の間で、特定の株を組み合わせたもの(=現物株バスケット)とETFの受益証券を交換しているだけです。このような仕組みのため、運用会社は売買手数料を支払う必要がなくなり、経費率をさげることができます。

このように、ETFの仕組みを考えると、分配金を捻出するために保有株を売却することなどできませんし、する必要もありません。ETFが分配金を捻出するために売り圧力が強まるなどということはありません。