rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

長期チャートは片対数グラフで見よう

突然ですが、過去50年の基準価額の推移が下図のチャートのようになった投資信託に、過去にさかのぼって50年のうち1年間だけ投資できるとしたら、いつに投資するのが利益が最も大きいでしょうか?「続きを読む」の先にはいきなり答えが載っていますので、クリックする前に少し考えていただければ幸いです。
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答え合わせ

早速ですが、答えはいつ投資しても同じです。先のチャートで基準価額は毎年5%ずつ増えているので、どの一年に投資しても1万円は1万500円に、10万円は10万5千円に、100万円は105万円にしかなりません。いかがだったでしょうか?チャートでは後半の伸びが著しいため、最後の年に投資すると利益が大きいと思ってしまったのではないでしょうか?

チャートの錯覚

先の図のようになるのは、基準価額が増えるのにしたがって、増加率が一定でも1年あたりの基準価額の増加額が増えるからです。普段目にするチャートの縦軸は、同じ長さが同じ金額を表しているので、毎年定額で増えていくとチャートが直線になりますが、毎年定率で増えていくと、先の図のように後半ほど急激に伸びているようなチャートになってしまいます。
このようなチャートを見ると、年々パフォーマンスが上がっていく素晴らしいファンドに見えますが、実際はこのようなチャートになって普通(毎年のパフォーマンスが概ね同じ)のファンドになります。一方、基準価額が直線で上がっていくファンドは順調に見えますが、実際には年々パフォーマンスが落ちていっています。

変化率に注目する場合は片対数グラフを見よう

それでは、昔と今のパフォーマンスを直感的に比べるにはどうすればいいのでしょうか?その答えは簡単で、片対数のチャートを見れば良いのです。
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いかがでしょうか?上の図は、先ほどと同じ、一定の年率5%で増えるチャートを片対数で表したものです。片対数のチャートでは、一定の比率で増えると直線になります。そのため、片対数で見て直線だと昔も今もパフォーマンスが同じ、上に曲がっていくチャートだと年々パフォーマンスが上がっている、逆に下に曲がっていくチャートだと年々パフォーマンスが下がっていると判断できます。
ところで、対数というと、高校数学でも難解な分野の一つです。そんなチャートは描けないという人もいると思います。しかし、世の中便利になったもので、Yahoo!ファイナンスのチャートでは「スケール」の項目で「標準」と「対数」を選べます。この「対数」を選択すると片対数のチャートを表示することができます。

S&P500を片対数チャートで見てみる

これまで理屈の話ばかりでしたので、実際にS&P500の長期のチャートを使って、片対数チャートの威力を確かめてみましょう。まずは通常のチャートです。
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このチャートを見ると、1950年から1990年ごろまでは地味な値動きが続き、1990年ごろから急激に伸びていますが、上下の変動も激しくなっているように見えます。これを、片対数のチャートで表すと、次のようになります。
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普通のチャートでは特に何も起こっていないように見えた1990年以前でも、結構激しく上下していたことが良く分かります。また、2000年ごろのITバブルの崩壊や、2007年ごろのリーマン・ショックはこの70年ぐらいで見てもかなりの規模の暴落だったことも分かります。一方、一般的にはリーマン・ショックから現在に至るまで、かなり急激にアメリカの株価は上がっている印象がありますが、過去の上昇具合とあまり変わらない(過去のチャートと最近のチャートで、傾きはそれほど変わらない)ことも分かります。つまり、現在の株価上昇はアメリカの標準的な成長率を反映しているだけという見方もできます。

まとめ

このように、長期のチャートほど、片対数にした時の印象が変わります。また、片対数のチャートの方が、直感で受ける印象が実際の現象に近くなっています。特に、最近の伸びが著しいチャートを見たら、片対数で表示してみることをおすすめします。

出典

記事中のS&P500のヒストリカルデータは、アメリカ版Yahoo!ファイナンスよりダウンロードしました。

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