rukbatの世界分散投資

30代後半のサラリーマンが国際分散投資で早期退職を目論むブログです。

証券とはいろんなものの区分所有権

今日から少し、証券について考えてみます。タイトルの通り、私は証券とはいろんなものの区分所有権だと考えています。厳密には、区分所有権を証明する文書を指しますが、普通に売買できる証券は電子化されており、証券そのものを見ることはほとんどありませんので、証券=区分所有権と思っていても問題ないと思います。

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区分で所有する

区分で所有するとは、大きなものを沢山の人が共同で持つということです。実生活では分譲マンションがいい例でしょう。分譲マンションはデベロッパーがマンションを建てた後、一般の消費者が分割して買い、土地と建物の所有権はデベロッパーからマンションの購入者に移ります。このため、それ以後のマンションの運営は購入者がつくる管理組合が行い、デベロッパーは関知しません。(実際にはデベロッパーの関連会社に管理を委託する場合が多いと思いますが、管理組合で議決すれば好きなようにできます。)このように、マンションの部屋を持つ人全体が議決等で、所有しているものを自由にする権利があります。また、個々の部屋を持つ人は、自分の部屋を自由に売ることができます。
証券は、これと同じようにいろいろな権利を分割して売買する仕組みです。

会社を区分で所有する株式

分譲マンションの場合、マンションという建物を部屋に分割して売買しましたが、株式会社を分割して売買するのが株式です。建物を株式会社に、部屋を株式に置き換えた関係です。このため、株式会社は株主の持ち物になります。ですから、株式会社についてのあらゆることは、株主総会に決める権利があります。なお、会社の決定権は社長が持っているイメージがありますが、社長は株主総会から業務を委託されているに過ぎません。このことは、株主総会の議決で社長を決めるという仕組みからも明らかだと思います。
また、株式会社は株主の持ち物なのですから、株式会社が持っている資産や株式会社が稼ぐ利益も株主のものになります。

債権を区分で所有する債券

一方、マンションの代わりに貸金を返してもらう権利(=債権)を分割して売買すると、債券になります。債券を買うと、返済された利子と元金を受け取ることができます。この仕組は貸す側にも借りる側にもメリットが有ります。
貸す側のメリットはリスクを分散できることです。例えば1,000万円を貸したい場合、一人の人に1,000万円貸すと、その人が返せなくなった場合、1,000万円すべてを失いますが、10人に100万円ずつ貸すと、一人が返せなくなっても900万円は戻ってきます。この場合、数学的には「誰かが返せなく確率」が上がるため、期待値は変わりません。しかし、期待値近くになる確率が高くなる(=リスクが下がる)というメリットがあります。
借りる側のメリットは、貸す側が上記のようにリスクが下がるため、借りやすくなることです。一般的に、1,000万円を貸してくれる人を一人探すより、100万円を貸してくれる人を10人探す方が楽になります。
このように双方にメリットがあるため、債権を分割して売り出すことは良く行われており、これを債権の証券化と呼びます。10年前のサブプライムショックのように、証券化でリスクを分散したことが裏目に出てしまったこともありますが、いろいろな債券を購入して、投資先を分散することが有効なことは間違いないと思います。